家づくりで夫婦の考えが違うとき

 

家づくりを計画している方が直面する問題として、夫婦で考え方が異なっている場合があります。

中には、家づくりを話し合ってみて、夫婦お互いの考え方が違っていることに気づく場合もあります。
最悪の場合、離婚の危機に陥る夫婦もいるようです。

考え方の相違やその問題点を挙げてみると、

1.お金や仕事に関しての不安感の違い
2.こだわるところが夫婦で異なっている
3.主導権(決定権)争いを演じてしまう
4.互いを理解したり思いやったりできなくなる

といったところでしょうか。

多くの方は住宅ローンを利用して家を建てます。そのためお金の心配が先立ってしまいます。
このまま賃貸でいいのか、それとも一戸建てを購入した方がいいのか。
仕事がこのまま順調にできるかどうか、将来収入は上がるかどなど、心配事は尽きません。
特にご主人としては、その責任を重く感じてしまう方が多く、奥様としては煮え切らない態度に映ってしまいかねません。

夫婦といえども、こだわりや価値観が異なっている場合が多々あります。
奥様は、子育てのことや家事のしやすさ、インテリアデザインや住宅設備機器などへの関心が高いように思います。
一方ご主人は、外観や自分の居場所(書斎や趣味室)にこだわりを感じる方が多いようですし、そもそも無関心の方もいます。

家づくりでは、夫婦のどちらかが主導権(決定権)を握る場合が多々あります。
夫婦の力関係が家づくりにも反映されやすいのです。
年配の方が若かりし頃の主導権は、大黒柱であるご主人が握っていたように思います。
今では奥様が、家づくりの主導権を握る家庭が多いのではないでしょうか。
主導権を握られた側は、家づくりに不満を多く抱いてしまうか、あきらめてしまう傾向があるように思います。

夫婦関係には、互いに助け合い協力し合うことが大切となってきます。
家づくりでもそれは同じだと思っています。
お互いの主張がぶつかってしまうと、互いに譲れず、険悪な雰囲気になってしまいます。
これから家族として一緒に暮らしていく住まいなのに、ストレスが増していってしまいます。

最終的には、互いに思いやりを持って、相手の叶えたいことは尊重し、自分の叶えたいことは理解してもらうなど、お互い様で家づくりを進めていきたいものです。

 

 

以前、あるご夫婦の家づくりをお手伝いした時の話です。

建築家プロデュースをしていた頃で、ご夫婦の主な打合せ相手は建築家でした。
私は、第三者的立場としてご夫婦に依頼を受けて家づくりを進めていました。
理想の住まいを作りたいと、夫婦ともに気に入った土地を買いました。

建てる家のデザインや雰囲気も、夫婦で価値観が合っています。
主導権(決定権)はご主人です。奥様もそのことを理解していました。

私は内心、このままスムーズに打ち合わせが進むと思っていました。

ところが打ち合わせを重ねていくと、次第に奥様の顔色に変化が表れてきたのです。
ご主人が次第に、自分のこだわりを強く主張し始めていたのです。

途中まで奥様は我慢していたようですが、その気持ちは、声や表情や態度に出てしまいます。
建築家は、主導者であるご主人との打合せを優先して進めていたため、奥様の変化に気づいていない様子でした。

ある時、ご主人がいないときに、私は奥様にそれとなく、今どんな気持ちでいるのか聞いてみました。

すると、最初は遠慮がちでしたが、少しづつゆっくりと時間をかけて聞いたところ、奥様の希望をご主人がないがしろにしていることに対して、苦しさを感じているということがわかりました。

やはり、と私は思いました。

ご主人が家づくりにハマってしまい、奥様の心の声を感じにくくなっていたのです。
そのような状態で、面と向かってご主人に対して、もっと奥様の希望も叶えたらどうですか、などと言っても聞き入れてもらいにくいのです。

そこで、陰ながら奥様の表に出にくい要望を聞きました。

・午前中に洗濯をして東側の光で干したい。
・買い物から帰ったら、食材をすぐにパントリーに収めたい。
・内装やインテリアの一部を、もっと自分好みにしたい。
・主人には書斎があるが、私には一人になる場所がない。

など、主導者であるご主人には、それとなく伝えているとのことですが、ご主人の耳には残っていないことばかりです。

そこで私は、第三者の立場を利用して、建築家に事情を話し、私からの提案をご主人に伝える機会を設けてもらいました。
私から、これから一緒に暮らす住まいを、第三者の視点から価値を上げてみてはいかがか、という提案をしました。

建築家も私のフォローに入ったことで、ご主人の耳を話が聞ける体制に仕向けることができたのです。
そこで奥様の要望を、奥様が言ったということではなく、私が提案するということでお話ししました。

話を聞いているうちに、ご主人は理解を示し、次第に奥様の要望だと気づき始めました。
最後には、自分が奥様の声を聞けなかったと、反省し始めたのです。

その時から、奥様に笑顔が戻りました。

そこから、ご夫婦ともに、互いが思いやり、納得した状態で家づくりが進んで行ったのです。

 

 

家づくりでは、家を建てることだけではなく、夫婦や家族の価値観や信頼関係を問われる、ということでもあります。

ご主人 対 奥様という構図。ご夫婦 対 住宅会社という構図。
この1対1の構図では、バランスを保てなくなる場面に遭遇した場合、その傾きを修正できなくなってしまうことがあります。

その状態のまま家づくりを進めても、新築は手に入りますが、それ以上に大切な、お互いの信頼関係を失ってしまいかねません。

表向きは笑顔でも、心は怒りや悲しみで苦しんでいる、という家づくりをした方が多くいるのではないかと思っています。

私としては、できるだけ、家づくりに関してだけは、心が笑顔でいて欲しいと思っています。

1対1の関係は、お互いの信頼や思いやりがあってこそ、成り立ち継続できるものだと思っています。

もし、そのバランスを維持したい、修正したいとお考えなら、第三者的立場、中立的立場のサポートをお考えになってみてはいかがでしょうか。

 


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