住宅業界人はどんな基準で自宅を建てるのか

 

住宅業界に従事する人が、自宅を建てる時、何を基準にして建てていると思いますか。

私がこれまで住宅業界で目にしてきた経験から、その傾向をお話します。

 

1.住宅会社に勤めている人

この方は、よほどの理由がない限り、自社から家を建ててもらいます。
どの住宅会社がいいか選ぶ、という選択肢はほとんどありません。
顧客に家を売っている立場上、自社で建築した家に住みたいと思うことと、自社割引が多少はあることも理由のひとつです。

 

2.独立系の建築士

自宅を建てる場合、自分自身で設計する方がほとんどです。
仕事柄、自身のPRと実験を兼ねていることが多いのです。
実際の工事は、これまでの経験から信頼できる工務店や職人に依頼します。

 

3.住宅会社と取引のある方や職人

この方の基準は、難しいと思います。
なぜなら、いくつもの住宅会社と取引しているため、どの会社で建てるのか迷うからです。
その場合、最も取引がある会社か、多くの会社の中で自分が信頼できそうな会社に依頼します。
請負ができる職人は、仲間内の職人と協力して、自分で建てる方が多いです。

 

いづれにしても、業界で仕事をすることを優先して、それを基準としていることが多いと思います。
一般の方も、仕事の関係、家を建てた知人、住宅関係の身内といった関係性を優先基準に考えてる方が、多いのではないでしょうか。

 

では、住宅会社に勤務する方で、仕事の種類によって、その方の優先基準は何かの傾向を見てみます。

 

1.住宅会社の社長

自社が販売している住宅とはどんな住宅なのか、といったコンセプトを明確にすることを基準にする方が多いと思います。
自社商品に関係なく豪邸を建てる方もいますが、多くは自社商品に自信を持っていることから、自社コンセプトを家づくりの基準にして建てています。

 

2.勤務する営業マン

営業マンの多くは、お金のこと、税金のことなどの知識を豊富に持っています。
そのために、自分にとって優位な住宅ローンや、ライフプラン、見積もり、返済計画など
お金に関することを優先的な基準としている方が多いと思います。

 

3.勤務する設計士

仕事柄、家のプランニングを優先基準にしている方が多いです。
どんな間取りが家族に合うのか、構造的に強くするにはどうするかなど、設計を基準にする方が多いと思います。

 

4.勤務する現場監督

現場監督の仕事は、実行予算を組み現場を管理することです。
多くの方が品質に関心を持っていることから、建物の品質を基準に考える方が多いように思います。
手抜きや欠陥の原因を取り除くことが優先と考えているようです。

 

5.勤務する経理や事務の方

この方たちは、実際の建築知識がほとんどないことから、社内で信頼できる方に聞きながら、自分の基準を考えていく傾向があります。

 

家づくりで、それぞれ従事する種類によって、何を軸として基準を決めるのかが、異なる傾向にあると思います。
一般の方も、お金のこと、間取りやデザインのこと、手抜きや欠陥の心配など、同時に気にかかることが出てくると思います。

 

ただし、一般の方と業界人では、基準に対して優先順位を決めていくということに違いが出ます。

 

住宅業界で仕事をしていれば、すべてが100%の家などできないことを理解しています。
従って、どんな基準を軸にして、何を優先させ、何をあきらめるか、そのことでどんな価値になるか
ということに注力します。

住宅業界の実情を知るほど、家づくりは妄想ではなく、現実的なものだと理解してくるからです。

 

・超ローコストで高品質の家など、現実的には出来ないことを知っています。
・安い労賃で、腕の良い職人に作ってもらうことなど出来ないことを知っています。
・建築士だからといって、良い間取りやデザインが出来るとは限らないことを知っています。
・良い材料を使っても、施工の仕方を管理しないと性能が発揮できないことを知っています。
・奇抜なデザインには、多くのリスクが潜んでいることを知っています。

 

業界人の多くは、自宅を作ることと、顧客に売る家は別物であることを知っています。
その原因は、顧客が望む住まいと、業界の実情を知っている業界人とでは「家に対する基準」が違っていることだと思っています。

 

私としては、その基準を顧客も業界人も共有し理解し合い、家づくりを進めたらいいと思っています。
業界人が自宅を建てるような気持ちで、お客様の家づくりに寄り添っていけたらと思います。


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