住宅会社の完成見学会・オープンハウスの見方

新築や建替えを考え始めた頃、目にする見学会のチラシから見に行ってみたいと思うことでしょう。

住宅業界にいる人間としては、色々な見学会を見てもらいたいと思っています。実物を見ることで、家族の暮らしをイメージしやすくなるからです。また、デザインや素材、空間や居心地などを実際に体感し、家づくりの参考にして頂きたいと思うのです。

但し、気を付けなければならないことがあります。

見学会は、家族の家づくりの大きな参考になる反面、見方を間違えると、最善の家づくりとはかけ離れてしまう危険性があるからです。なんとなく想像できるとは思うのですが、お話ししていきたいと思います。

 

① 見学会の目的を把握しておく

◆住宅業界にとって、見学会は最大の受注機会となります。住宅会社にとって、施主の注文住宅を見せることで自社のPRを行い、次の受注へと繋げることが最大の目的となります。見学会の目的は受注のための集客となります。

見学会では、営業や設計担当が皆様に付き、その家を一通り一緒に見ながら説明していきます。住宅会社によっては、家を見せることよりも、PRしたい資料を説明したり、皆様の家づくりの本気度を探ったりすることを主目的としている会社もあります。

そのために、家を見る前(見た後)にアンケートの記載をお願いするのです。そこに記載した皆様の個人情報を元に、皆様への営業戦略を立てるためです。

但し、小規模の工務店や職人さんが建てたお宅の見学会では、皆様に自社の仕事ぶりを見て頂くことと、施主への配慮から、来場される皆様の個人情報を聞かない場合もあります。

全ては、その住宅会社の目的のために、見学会があるということです。

◆一方、皆様が見学会に足を運ぶ理由として、その多くは家づくりの参考にしたい、ということではないでしょうか。そして、家づくりにとって知りたいことを確認できれば良いと思っているのはないでしょうか。

例えば、このお宅の建築費はいくらくらいなのか、実際に太陽光を設置した方がいいのか、キッチンやお風呂のグレードを確認したい、住宅ローンや返済のことを教えてもらいたいなどです。

施主が建てた見学会の建築費を、いくらです、と答える営業マンはいないと思いますが、その住宅会社で建てた場合はいくらくらいだという情報は知ることが出来るでしょう。また、知りたいことを質問すれば、ある程度は営業マンが答えてくれるかもしれません。

皆様にとって見学会は、自分の家づくりの参考という目的が主になるのではないでしょうか。

また、どの住宅会社が自分の家づくりに合うのか、品定めをすることも目的と言えるでしょう。

◆ところで肝心な施主の気持ちはどうでしょうか。経験上から見学会をして家を他人に見せたくない、という気持ちの方、または、自分も他人の見学会を見せてもらったので、自分の家も参考にすればいい、という気持ちです。

そして、最初から見学会を条件に値引きをしているとか、ローコスト住宅なので見学会が契約の条件である、という住宅会社も実際にあります。

一般的な施主の気持ちとして、ここまで良い家を作ってくれたのだから、その会社が発展するように自分達も協力したい、ということが多いのではないかと思います。見学会を機に、知人や身内へ新築のお披露目をしたいという方もいます。

◆お伝えしたいことは、施主、住宅会社、皆様と見学会に対しての目的が異なるということです。相手となる立場の目的を知らずに見学会に行った場合、相手のペースに巻き込まれる場合があります。

また、アンケートに個人情報を記載することで、住宅会社の顧客リストに必ず乗ってしまいます。どんな形であろうと、営業行為を受けることを避けることは出来なくなります。

個人情報を明け渡さず、家づくりの参考という目的を果たすために見学会を見たい方は、その旨、正直に見学会の窓口担当に話をしてみてはいかがでしょうか。

その場合、快く承諾してくれる住宅会社であれば、顧客のための家づくりに協力的ということになります。しかし、アンケートに記載できなければ見せられない、という態度をとる住宅会社であれば、受注目的以外に労力を使いたくないということなので、今後は気を付けなければならないと思います。

また、営業されることに警戒するあまり、険しい顔つきで受け答えもせず、景品だけもらって帰ろうとする見学者がいます。住宅会社も人間ですので、もしその方と受注出来たら、誠意を持った家づくりをおろそかにする可能性もあります。

見学会の見方として知っておきたいことは、住宅会社である相手の目的や行動を知っておくことです。それによって、自分の目的やペースを守りながら、多くの家づくりの情報を得ることが出来るようになります。

 

② 見学会の住宅は、そこに暮らす施主の要望を反映したものである

◆見学会で皆様からよく耳にすることがあります。それは、この間取りは良くない、この内装はセンスがない、なぜこんなデザインにしてしまったのか、などの批評です。

批評するのは自由ですが、その批評自体が、施主や住宅会社の評価に繋げる必要はないと思います。

あくまでも、施主の要望は皆様と一緒ではないということですし、住宅会社としては、できるだけ施主の要望に応えるような家づくりをしているからです。

但し、どう考えてもおかしな間取りやデザインであれば、その住宅会社に提案力が欠けていた、という判断ができます。そこは、皆様の評価として家づくりの参考にすることです。

もし、納得がいかないことがあれば、担当者に対し、どうしてこのようにしなかったのかを聞いてみることです。その答えを参考にしたらいいと思います。

◆見学会で見るものは、自分の要望に合わないこと、合うことを再認識することです。嫌いなデザインと遭遇すれば、やっぱりこれは無しだなと思うでしょうし、これはいいアイデアだなと感じ取り入れたいと思うこともあるでしょう。

色々と物件を見ることで、自分達家族の理想の住まいをイメージしやすくなっていくのです。

また、住宅会社や担当者の姿勢を見ることも重要となります。

ここでの注意点は、見学会に行ってアンケートに個人情報を記載し、会場で担当が付いた時点で、その住宅会社との窓口担当が決定するということです。なぜならば、営業担当は自分の受注成績を上げることが目的だからです。やすやすと担当を変えられては、ノルマを達成することが出来なくなってしまうからです

その後、その住宅会社が気に入ったとしても、担当との相性が良くない場合、簡単には担当を変えてもらうことが出来ず、違う住宅会社を選ぶ方もいます。その点からしても、最初から個人情報を提示してしまうことは、皆様にとって優位とは言い難いのです。

担当を変えることが出来ず、納得のいく家づくりが出来なかった方も多いのです。

◆見学会では、できるだけ批評家の視点ではなく、自分の家づくりの参考になるかどうかの視点でご覧になって頂きたいと思います。それが、皆様の家づくりを納得の方向に進めることに繋がるからです。

 

③ 見学会を参考にして、納得のいく家づくりを目指す

◆住宅業界に長くいたものにとって、見学会でのサービスが高い住宅会社ほど、販売志向が強い会社と言えます。近年は、そのような住宅会社が増えてきています。但し、見学会での接客が良いからと言って、家づくりの技能が高いとは言い切れません。

販売系の住宅会社の目的は、受注にあるからです。

皆様には、家づくりを納得のいくようにするために、うまく見学会を利用して頂きたいと思います。

家づくりの参考としての見学会の活用ということです。

 


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