家づくりにおける住宅会社の選び方です。
家族の思いに合う住宅会社を選定する場合、どんな基準で選んだらいいのでしょうか。
家づくりの依頼先選びには苦労するのではないかと思います。
どんな基準で選んだらいいのか。
どんな依頼先が家族に合っているのかなど。
住宅業界経験者が、長年の経験から、依頼先の選び方をお話しします。
目次
- 一般的な依頼先選定の基準とは
- 業界人なら、どんなことを考えるのか
- 業界人が家を作る場合の基準とは(参考)
- 家づくりの依頼先を選ぶために、家族の基準が大切になる
- 依頼先の分類と特徴
- 依頼先の選び方
- 商談や交渉の仕方(参考)
- まとめ
1. 一般的な依頼先選定の基準とは
いくつかの住宅会社の話を聞いても、何を基準にして決めたらいいのかわからない。
一つの会社で決めたら、これまで一生懸命営業してくれた会社へ断わりを入れるのに申し訳なく思ってしまう。
いろんなことが頭によぎってしまいます。
そのために本来家族が思っている基準が、あいまいになることがあります。
では、一般的に家づくりをする方が、どのような基準で依頼先を決めるのか見てみましょう。
- 知人や身内からの紹介
- 地元での実績があり、有名なところ
- 営業担当や社長の人柄が良かったところ
- 土地を紹介してくれたところ
- 一生懸命に相談に乗ってくれたところ
- 会社の規模が大きそうなところ
- 見学会で建物が気に入ったところ
- 建築価格が安かったところ
これまでの家づくりの経験でアンケートを取ると、多くの方がこのような感想を語ってくれます。
皆様も、自分もそうかも、と思うような項目があるかもしれません。
一般的にこのような基準で選んでいる方が多いようです。
2. 業界人なら、どんなことを考えるのか
上記で記載した項目はもちろん大事なことであり、業界人も依頼先の選定基準としています。
但し、上記の項目はすべて、自分達家族の思いを叶えた建物を取得することに、直結している基準内容とは言えない、ということです。
どちらかといえば、良い家づくりができる前提での付加的な基準だと考えています。
それらの基準だけにとらわれないよう、注意が必要となります。
それでは、一つ一つ検証していきましょう。
知人や身内からの紹介
利害関係がない知人や身内、場合によっては口コミサイトの意見などからの紹介は、皆様が最も重要視する基準ではないかと思います。
但し、紹介者にとって最善の依頼先でも、皆様にとっての最善の依頼先だとは限りません。
場合によっては、紹介がかえって、しがらみに変わる可能性もあります。
地元での実績があり、有名なところ
昔から地元のために、一生懸命家づくりを行ってきた会社は、そのための実績があり地元でも有名です。
そのような依頼先で決めれば安心と、多くの方は思うのではないでしょうか。
但し、いくら実績があろうとも、皆様ご家族にマッチするかどうかはわかりません。
家という物を買いたい人はそれでもいいのですが。
営業担当や社長の人柄が良かったところ
住宅販売は商売です。営業マンや社長の人柄は良くて当たり前です。
そのように訓練も受けています。本当の人柄を知りたいのであれば、一旦断わりを入れることです。
その時に本当の人柄がわかります。
社員や社長の人柄と、家づくりに相関関係はありません。
人柄よりも、相性や仕事に対しての姿勢の方が良いのではないでしょうか。
土地を紹介してくれたところ
お目当ての土地を一生懸命に探してくれた。
土地を探しても、なかなか見つからないことがあります。
心情としては、他の会社よりも良い土地を探してくれたのだから、この会社に任せようじゃないか、と思ってしまいます。
それが人の心というものです。
但し、それは土地のことであって、建物の施工とは異なります。
依頼する場合でも、気持ちを切り替えて進めていきたいところです。
一生懸命に相談に乗ってくれたところ
これも土地探しと同様に、心情としては依頼したくなってしまいます。
本当に親身になってくれるなら、きっと望みの住まいを作ってくれるでしょう。
但し、相談の内容を見極めなければなりません。
相談相手の意図が、受注のための相談なのか、顧客のための相談なのか、ということです。
家づくりにおいて、皆様にとっての味方に相談して頂きたいものです。
会社の規模が大きそうなところ
会社の規模が大きいところは、つぶれないし安心だと多くの方が思っているようです。
住宅業界は、皆様が考えている以上に人手が掛かるのです。
会社の規模が大きくなるほど、それに比例して社員の数を増やさなければなりません。
会社の規模と、経営の安心感には、大きな相関関係が成り立ちにくいのです。
見学会で建物が気に入ったところ
いくつかの見学会に行って建物を見ると思います。
その時、この家は自分好みだから、他の会社ではなく、この会社がいいねと思いませんか。
常設の展示場でない限り、多くの見学会は、その建て主の要望で作られています。
皆様の好みとは異なって当然です。
見学会などは家族の家づくりの参考になります。
建物デザインや部屋の広さ、色使いがわかること、住宅設備機器などです。
従って、それらを参考にして、家づくりは、家族の思いに合わせて設計することができます。
建築価格が安かったところ
人生最大の買い物である住まいの取得。
できるだけ価格が安い住宅を取得したいものです。
但し、安さだけに意識が向いてしまうと、本来の家族の暮らしを叶えられないばかりか、後悔を募らせる結果を招きかねません。
建築価格の材料や工賃の原価は、現在では大手と小規模の会社とで、大きな価格差はなくなっています。
業界人は知っています。
価格の安さにはからくりがあることを。
住宅は、工場で製造される工業製品ではないのです。
家づくりの多くの方が、依頼先と出会った第一印象で決める傾向があります。
心理学でも第一印象の優位性が指摘されています。
昔から営業研修では、第一印象をいかに良くするか、ということを行っているのです。
第一印象が成功すれば、家づくりも成功となることでしょう。
但し、家づくりでは、ご自身の直感の正しさを証明していくプロセスがとても大切となります。
より納得のいく家づくりのため、一度ご自身の判断する要素を検討してみてはいかがでしょうか。
3. 業界人が自邸を作る場合の基準とは(参考)
その点では、身内の建築業者で建てなければならない方と、同じ状況があるということです。
住宅会社に勤めている社員や、その下請業者、またはその会社と取引している方など。
強制的ではなくても、今後の雇用や取引上、仕方がないこともあります。
社員や下請業者は、属している住宅会社の内情を知っています。
中には、その住宅会社からの強要からのがれるために、転職するものもいます。
また、自分の家だけは顧客よりも優先して、良い職人に頼む場合があります。(特権ですね)
業界人といえども、家づくりの失敗、後悔する方も多くいます。
営業マン、設計士、現場監督、ひいては建築会社の社長に至るまで、これまでの経験で多くの業界人の後悔の話を聞いてきました。
業者や職人であっても同じです。
自分の専門分野の工事内容はわかりますが、それ以外のことはあまり詳しくないのです。
そのため、たとえ業界人であっても、周囲の専門家や第三者に相談する場合が多くあるのです。
むしろ、業界人だからこそ、一般の方よりも家づくりのリスクや実態を知っているため、いろんな情報を得ようとするのです。
業界人が自分の家づくりをする場合の基準は、どのようなものでしょうか。
〇正確な情報を収集し基準とする
業界に噂や嘘はつきもの。いかに正確な情報収集できるかが成功の鍵です。
〇第三者や信頼できる人に相談する
自分だけの判断ではなく、専門家などに何度も確認する。
〇無駄なお金や時間を掛けない
無駄なお金や時間を掛けず、重要なことにお金と時間を掛ける。
〇無駄な経費や材料、人件費を省く
いかに経費を減らし、材料を吟味し、重要な人材にお金を掛けるかを考える。
〇資産価値を上げる
建物の価値を上げる建築をする。
〇性能や品質を重要視する
業界人だからこそ性能や品質の重要性を知り、手抜きや欠陥を未然に防ぐ措置を講ずる。
〇自分も家づくりに参加する
他人任せではなく、自分自身で確認しながら進める。
〇自家づくりをチーム化して協力してもらう
家づくりに係わる人を味方に付けると、スムーズに情報共有できることを知っている。
〇こだわりを強調させる
優先順位を決め、こだわりは特に力を入れると納得感を味わえる。
4. 家づくりの依頼先を選ぶために、家族の基準が大切になる
基準において、どれが正解ということはありません。
それぞれの方に、それぞれの基準があって良いのです。
但し、その基準を持つ、基準と作る場合に、気を付けなければならない過程があります。
その順序があいまいになると、家族の家づくりに「ぶれ」が生じ、思い悩んでしまうかもしれません。
これから家づくりをする方、そして終えた方のアンケートでも、「基準」がわからないとの回答が多くあります。
どのように基準を知り作るかが、依頼先選定にとって大切なものになってくるのです。
5. 依頼先の分類と特徴
家づくりの依頼先には、様々な住宅会社があります。家族の基準に合う住宅会社は、どのように選んだらいいのでしょうか。
その前に、当地域の主な依頼先を、特徴別に分類してみたいと思います。
一般的な情報サイトとは少し違うかもしれません。
よくある依頼先の分類として、ハウスメーカー・ローコストビルダー・地場工務店・建築家などで分類しています。
この分類は依頼先の大まかな分類であり、本質的な分類とは言い切れないように思います。
ここでは、依頼先の目的や得意分野、または価格帯とその根拠などから、分類してみます。
販売系か技術系か
主な分類の仕方として、住宅を商品として販売するか、住宅を作るものと考えているか、という分け方です。
販売系の代表格がハウスメーカーです。
チラシやカタログに、商品名が記載されて建物価格が表記されています。
販売系の特徴として、営業マンやアドバイザーなどの販売窓口が在籍していることです。
お客様へ販売した建物は、社内の設計担当、コーディネート担当、現場管理担当など分業制によって情報伝達され、施工は下請業者が行います。
一方、技術系では、主だった営業窓口がおらず、設計や施工管理専門の会社、大工棟梁など職人中心の会社、建築家(設計事務所)などです。
販売窓口がいないため、代表や設計士や大工棟梁が、お客様の家づくり窓口となります。
住宅商品といったものは無く、コンセプト提案などや、お客様の要望に沿って一から作り上げることが特徴です。
販売系の住宅会社
・大手、県内のハウスメーカー
・ローコストビルダー(ローコスト会社)
・販売主体の工務店(大小規模があります)
技術系の住宅会社
・設計施工主体の工務店(大小規模があります)
・大工棟梁など職人主体の工務店
・建築家や設計事務所(施工はしませんが)
販売も技術もバランスが良い依頼先も、少なからずあります。
どちらが良い悪いではなく、家族の思いや基準に沿った依頼先を選ぶことが大切です。
思いや基準に沿わない依頼先との商談や交渉は、お客様も住宅会社も無駄な経費や時間を掛けることになります。
販売系、技術系それぞれの住宅会社には、本当の目的や理念があります。
そのことをよく知っておかないと、最終的にミスマッチが起こってしまいます。
従って、家族に合う系統を選び、その中から想いや基準を叶えてくれる依頼先を選ぶことです。
価格帯の参考
上記の分類より
おおよその価格帯を記載します。
施工・品質管理の参考
上記の分類より
おおよその価格帯を記載します。
上記はあくまでも目安です。住宅会社ごとに、それぞれ特徴があり、価格や性能や品質など、いくつかの点で説明や担保を示してもらう事です。
6. 依頼先の選び方
一般的な傾向として、販売系の住宅会社は売ることに経費を掛けています。
一方で技術系の住宅会社は品質に経費を掛けています。
販売系を選ぶメリットは、手間暇を掛けなくても良いことです。
お任せで家を買いたい家族向けとなります。
技術系を選ぶメリットは、思いやこだわりを叶えやすいことです。
参加型の家づくりをしたい家族向けとなります。
依頼先を選ぶために、多くの方はいくつかの住宅会社にプレゼンを提示してもらいます。
いろいろな会社からプレゼンを取ったことがある方ならわかるかと思いますが、住宅会社によって、間取りも仕様も価格もバラバラで出てきます。
そのため、家族としては、どんな基準で各社の比較をしたらいいのか、わからなくなってしまうのです。
価格で言えば、コミコミ価格の会社、一式工事しか記載されていない会社、詳細な見積書の会社、調査を踏まえた価格、調査もしないで出す価格など様々です。
結局、どんな内容なのか不明瞭のまま、総額の印象を基準に選ばれる方が多いのです。
住宅会社選定時に安かった会社が、契約の後、頻繁に追加工事を提示し、結局高い買い物になったなど、多くの話があります。
では、どうしたらいいのでしょうか。
いくつかの住宅会社を比較して迷う方は、住宅会社への条件提示が甘い可能性があります。
住宅会社にプレゼン提案を依頼する場合と、実際に見積り依頼する場合では、条件の出し方が異なるのです。間取りやコンセプトなども同様です。
家族の思いを形にできる住宅会社を選ぶことと、いくつかの住宅会社からの提示から選ぶのでは、大きな違いがあります。
また、その条件は、こんな感じ、というものではなく、できるだけ詳細な条件が望ましいと思います。
コミコミ価格であっても、できるだけ詳細な見積書にしてほしい、この価格に含まれる仕様の詳細が欲しい。
図面のコンセプトを説明してほしい。どんな性能で、どんな品質管理をするのか示してほしいなどです。
また、住宅会社を選ぶ際の比較材料として、共通の図面で各社に見積り依頼をすることです。
但し、あまり条件を厳しくしてしまうと、辞退する住宅会社が出てくる可能性がありますので、注意が必要です。
住宅会社としても、自社の家づくりに自信を持っていますので、できれば自社PRをして、選んでほしいと考えるからです。
もしご家族が、販売系の会社から比較して家を買うのであれば、いくつかの建築会社から選ぶという選定スタイルとなります。
また家族が、技術系会社から選ぶのであれば、相談や面談を通して一つの会社に絞るという、その業者を最初から選ぶ選定スタイルとなります。
7. 商談や交渉の仕方(参考)
住宅会社を調べようにも、ネットや雑誌の情報は広告やPRのみです。
口コミサイトもあてになりません。
知人や身内も、業界に精通しているとは言い切れません。
そのような状況の中でも、決定権者は施主となる皆様です。
ではどのように商談や交渉を心がけたらいいのでしょうか。
皆様の警戒心や不安などからくる、嘘の情報を出さないようにする
予算や時期など、警戒のあまり住宅会社に対し誤った情報を言いたくなりませんか。
家づくりはまだ先です、など。
建築会社がそのことを知ったとき、このお客様が先に嘘をついたのだから、こちらもそのことに対処しよう、と考えられてしまいます。
嘘ではなく、こうしたいが検討している、但し、営業はされたくない、などきちんと対峙することです。
皆様の要望に対し、対応の担保を取る
建築会社の担当との打ち合わせなどで、メモを取らない担当もいます。
多くは忘れ去られてしまいます。
また、担当の説明などの根拠を確認してみることです。
約束も口頭ではなく、書面に残すようにすることです。
住宅会社にとって不都合なことは言わない場合があるので、なんでも聞いてみる
担当者や住宅会社によって、自社の不都合な点は積極的に言わない場合があります。
トラブルになるのは、最初に説明してくれたら良かったのに、お客様が聞かないから言わなかった、ということです。
家族にとっての常識は、家づくりでは通用しないと思って取り組むことが大切です。
素直に聞けば、素直に返してくれる場合が多い
住宅会社の担当も人間です。
いくら仕事とはいえ、多少の私情が入ってしまいます。
お客様が素直な態度であれば、担当も素直になって力を貸してくれることが多いのです。
8. まとめ
依頼先選びは、とても難しいものです。
その原因は、住宅会社の知りたい情報が、ほとんど無いことなのです。情報が無ければ、判断のしようがありません。
また、家族自身に思いや基準がはっきりしていない場合です。
つい目先の価格や担当者の人柄、見学会の印象などで、心がゆらいでしまいます。
一生暮らしていく、家族にとって大切な住まい。
あまり深刻にならず、素直に楽しみながら依頼先と家づくりをしたいものです。
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