家づくり講座 ⑤ 【間取りとデザイン】

家づくりのプランニング。間取りやデザインについて学びましょう。
敷地との関係、失敗談から学ぶ、家族のサイズ感や暮らしのイメージ、デザインのことなどの考え方です。

家族に合った間取りを作るには、今までの住まいでの不満や不便さを、どのように解消するのか、という観点からイメージしてみることです。
また、新たな家族の暮らしで叶えたいことをイメージして、こんなふうにしたい、という思いからイメージすることも大切だと思います。

そして家族それぞれに、家族のサイズ感があると思います。
一律に〇〇帖の部屋が欲しいや、家事動線や収納の使い勝手など、自分が生活するイメージを持って、間取りを作ってみましょう。

家族に合ったオリジナルな間取りやデザインは、どのように作ったらいいのでしょうか。

目次

  1. 敷地と間取りの関係
  2. 間取りの失敗談から学ぶ
  3. サイズ感や暮らしの目的をイメージする
  4. 家族の思いを間取りに描く
  5. デザインのこと
  6. まとめ

1. 敷地と間取りの関係

建蔽率 建ぺい率 容積率
敷地(土地)と間取りには関係性があります。用途地域の制限など、建築基準法に準じて配置や間取りを考えていきます。

敷地の大きさと配置

〇建物を建てる時、建ぺい率と容積率をクリアしなければなりません。

・建ぺい率

敷地に対して、建物を真上から見たときの水平投影面積(建築面積)との割合です。
敷地面積が200㎡で建ぺい率が50%の場合 200㎡×50%(0.5)=100㎡までが、建築面積可能となります。

・容積率

敷地に対して、建物の延床面積との割合です。
敷地面積が200㎡で容積率が200%の場合 200㎡×200%(2.0)=400㎡の延床面積までが建築可能となります。
(延床面積は、2階建ての場合、1階の面積と2階の面積との合計面積です)

〇建物の配置は隣地境界や道路境界と離さなければならない。

民法234条には、建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない、とあります。
但し、強制ではないため、状況次第で隣地などとの協議が必要です。
当地域は雪国であり、隣地との距離を多く取る場合が多いのです。

敷地に面する道路幅が4m未満の場合、敷地のセットバックとなります。
また、用途地域や建築基準法、各条例などにより、隣地からや道路からの距離に制限があります。
それらを考慮し、更に駐車場や外構計画などを考えて、建物の配置をしていくことになります。

〇まずは、敷地と配置について、法的な条件をあげてみることです。

敷地の方位
敷地 方位
土地探しの選定基準に、方位を気にする方も多いことでしょう。多くの方が南向きの土地を選びたいようです。
確かに南向きの方が、日当たりが良いように思います。
特に雪国では冬の日射が少なくなるため、という理由もあります。

但し、価格は少し割高になってしまいます。
分譲地などでの土地販売価格でも、南向きの土地は割高で設定されていることが多いのです。
敷地だけ考えれば、方位は重要な基準要素しなますが、建物の設計次第で敷地の方位を活かすことが可能です。

敷地の方位によって、水廻りやリビングの位置が変わり、間取りに影響がでてきますので、設計を考慮しなければなりません。

敷地の道路状況
敷地 道路
敷地が道路に接していなければ、建物を建てることはできません。
また、道路の幅によっても、建物配置や駐車場スペースに影響がでてきます。
特に雪国では、除雪ということを考えなければなりません。
融雪溝の有無、消雪パイプの有無、市の除雪体制、道路勾配の程度など、雪に関する確認が必要です。

また、電柱や電線なども確認したいものです。
敷地の真ん中に電柱がないか、動かせるのかなど調べる必要があります。
狭い道路などは、建物を建てる場合、木材などの搬入に支障をきたすため、建築費が上がってしまう場合があります。

敷地の形状
敷地 形状
建物は、台形や三角の形より、四角の方が建築費を抑え、間取りが作りやすくなります。
そのため敷地の形は四角い方が優位となります。
敷地の傾斜は、道路側より奥が高くなっていることが望ましいです。
雨水が敷地に流れず、道路に流れていきやすいためです。

敷地に高低差がある場合、建築費の配分が、造成工事に多く掛けなければならない可能性があり、希望の間取りへの予算が少なくなるかもしれません。
土地を選ぶ際には、敷地の形状の確認が必要となります。

敷地の周辺環境
敷地 周辺環境
〇地域性や近隣に配慮

雪国という地域柄、雪の処理の仕方に対し最も気を配らなければなりません。
狭い土地に広い建物を建てようとした場合、雪の処理に関し、近隣とトラブルになる確率が高くなります。
また、道路からどのくらい建物を離すかで、冬の通勤による雪かきの手間を考えた方が良いでしょう。

〇隣家が建っている場合、窓や換気扇の配置に気を配る

建物を建てた後、寝室の窓と同じ位置に隣家の窓があったり、換気扇からの排気が隣家に影響を与えたりする場合があります。
事前に隣家の配置や窓の位置などを調べ、位置を少し変えるなどの配慮をした方が良いでしょう。

〇音や臭いなど、五感に不快を与えるような要因がないか調べることも大切です。

近隣や自身で、ピアノなどの楽器、テレビや音楽の音など出している場合、何かしらの防音対策を考える必要があります。
また、不快な臭いもストレスとなりますので、意識して敷地を確認することです。

四季を通じた敷地環境
敷地 環境 四季
春夏秋冬といった四季によって、陽の当たり具合、風の流れ具合が変わってきます。
周囲に田や畑がある場合、周囲がコンクリートやアスファルトで囲まれている場合と、夏の風通しや温度に影響がでます。
隣家の建物高さが高ければ、陽が当たらない部屋がでるかもしれません。
四季を考慮して、設計や間取りを考えなければならないでしょう。

その他、様々な敷地の状況によって、間取りに影響を与える場合があります。

敷地の状況や条件は変えることができません。しかし、設計や間取りの工夫で解決できることもあります。


2. 間取りの失敗談から学ぶ

間取りの失敗談
様々なサイトや雑誌、そして当社スタッフの経験からの間取りの失敗談から、これから間取りを作る方への参考になればと思います。

部屋の広さやサイズ感の失敗

リビングや寝室など、部屋が広い方がいいように思うのですが、光熱費がかさんだり掃除が大変になった。
予算削減のため部屋を小さくしたが、家具を置くとさらにスペースが足りなくなった。
主人と奥様、子供たちそれぞれの体格が異なり、サイズ感を考えて設計すればよかった。
廊下や階段が狭く、物の上げ下げに苦労したり、老後の介護に心配が残る。

コンセントやスイッチの数や位置の失敗

スイッチが離れていて使い勝手が悪い。
コンセントの数が足りず、延長コードやタコ足配線で家電を使っている。
カウンターの上に電子レンジを置く予定だったのに、カウンターではなく、その下にコンセントがある。

収納の失敗

収納スペースに、置きたいものが入らない。
事前に置く者を測ってから収納を作れば良かった。
収納が足りない。部屋を広くすることばかりに気が行っていた。
玄関の脇に広いシューズクロークを作れば良かった。ベビーカーやコートやブーツなど、余裕あるものにしたかった。

明るさや室内温度や湿度の失敗

リビングに大きな窓を設置したが、夏は暑くて冬は寒い。
窓でこれだけ温度が変わるとは。建物の対角に窓が無く、風通しが良くない。
全部の部屋にドアで仕切られ、温度や湿度にむらがある。
一部の壁に通気の開口を付ければ良かった。

視線や音、臭いの失敗

隣の家の窓がうちの窓と同じ位置にあり、常に視線を気にしながら生活しなければならない。
1階の寝室の上にトイレがあり、子供たちが用を足すたびに排水音がする。
リビングの脇がお隣の駐車場のため、排気ガスの臭いがして窓を閉めなければならない。

生活動線の失敗

洗面所にある洗濯機と、選択干し場が離れているので、とても疲れてしまう。
玄関脇にトイレを設置したが、来客時の時には気を使ってしまう。
2階にお風呂を作ったため、子供たちが汚れたままの足で階段を駆け上がり、そのたびに掃除しなければならない。

人それぞれにサイズ感や使いやすさがあります。家族それぞれに家族に合う間取りがあります。家づくりをした人の失敗談を参考にするのも、大切な情報です。


3. サイズ感や暮らしの目的をイメージする

サイズ感 暮らし 目的 イメージ
間取りを考える時に、家族が生活していくためのサイズ感を考えてみてはいかがでしょうか。
サイズ感とは、居室や水回りや階段など、空間的な大きさ。
そして、家族一人一人の使い勝手からくる幅や高さなどです。

また、少人数の家族でも、人を招く機会が多ければ、大きな空間を望むでしょうし、コンパクトに暮らしたいのであれば、小さな空間でも満足できるかもしれません。
住まいとは、一律的にこの部屋は何帖必要だ、などと考える必要はないのです。

家族のこれからの暮らしに合う、サイズ感や目的に沿った空間を作り出すのです。

空間的なサイズ感

空間とは三次元です。幅・奥行、そして高さです。
同じリビングでも、広い面積でも高さが低い場合。
狭い面積でも高さが取れている(吹き抜けや勾配天井など)場合。
そして、床に座る生活と、椅子やソファーで過ごす生活では、目線が異なり、空間的な感じ方が変わってきます。

同じ延床面積の住宅でも、居室(リビングや寝室、和室や子供部屋など)に十分な広さを確保した分、水回りや階段、玄関や収納などに、十分な広さが取れなくなる間取り。

一方で、居室は必要な分を確保して、利便性を重視して、日々上り下りする階段を広くし、水回りや収納にゆとりを持たせるという考え方もあります。

机上の図面からでは、なかなか空間をイメージすることは難しいのですが、住宅会社の展示場や見学会、知人のお宅などを見ながら、空間的サイズ感を五感で体感してはいかがでしょうか。
窓の抜け感も、空間的な広がりを演出してくれるため、大切な要素となります。

人的なサイズ感

人間一人一人が感じる、心地よいサイズ感は異なってきます。
小さいお子様と、大人では目線も手足のサイズも異なります。
夫婦でもサイズ感が異なってきます。
キッチンの高さ、棚の位置、洗面台の踏み台、窓の位置(目線)、収納の高さや幅など。
また、廊下の幅(将来、手すりや車いす生活を考慮して)、階段の幅や段の高さ(荷物の上げ下ろしなど考慮)、子供の机や衣装収納のパイプハンガーの高さ、扉の大きさなど。

賃貸や建売、規格住宅などではなく、注文住宅では、家族のサイズ感に合わせた間取りを作ることができるのです。
日々の生活で不便なことや、こうしたいということなどを、気が付いたらメモしてみるのもいいのではないでしょうか。

家族の暮らしの目的からイメージしてみる間取り

注文住宅では、家族に合ったサイズ感を作ることができます。
そのためには、今後の家族の暮らし方をイメージしてみてはいかがでしょうか。暮らし方の全体像です。
家族の生活は日々変わっていきます。変化に対応できる住まい、ということも一考です。

家族に合った、空間的・人的なサイズ感で間取りを考えてみませんか。


4. 家族の思いを間取りに描く

敷地の状況や周辺環境、そして予算を考えながら、家族の思いに近づける間取りを描いていきます。
描くのは手書きで十分です。ゾーニングをしてみましょう。

例えばこんな感じ。

間取り ゾーニング 描く
どんな間取りにしたいのか、そのための家づくりノートを作ってみることです。
家族がくつろぐ空間は、どんな家具を置いて、床に座るのかソファーでくつろぐのか。
キッチンは対面かアイランドか。ダイニングとリビングを兼用するのか分けるのか。
畳の上でもくつろぎたい。水廻りはコスト削減のため近くに集約するなど。
2階のイメージは・・・。

ゾーニングの清書には、図面を書いていきます。
家族で書けなければ、当社にご相談ください。CAD図にして提示します。
建築会社との商談や問い合わせ前に、気軽にご相談することができます。


5. デザインのこと

デザイン
建物の外観デザインやインテリアデザイン。
どんなデザインが好きでしょうか。
デザインを考える時、好きなデザインに目がいきがちになりませが、逆に、嫌いなデザインを挙げて、やっぱりこれが好きだ、と思ってみることも一考です。

ひと昔では、ハウスメーカーや建築会社によって、特徴のあるデザインがあり、一目で〇〇ホームとわかったものです。
しかし、現在では、外観や内装、家具や照明器具など、どんな建築会社でもデザインすることができます。
ネットで調べれば、選びきれないほど、建築デザインの事例であふれています。
しかし、いまだに○○ハウスにしかできないデザインだ、と思っている方も多くいます。

家族の思いや好きなもの、好きな雰囲気など、漠然としたイメージからデザインが始まります。
いくつかのテイストを選び、その中から近いデザインに絞っていきます。
そこからオリジナリティを作り上げていきます。

色や素材、形やサイズ、既製品か造作か、価格はどうかなど、色々な角度からデザインします。
但し、雪国での家づくりでは、条件が出てきます。それらとの兼ね合いが大切となります。
家づくりの依頼先として、家族のイメージを具現化してくれるところ(人)を選びたいものです。

デザインというと、自分にはセンスがないから苦手だ、と考える方もいるかもしれませんが、堅苦しく考えずに、まずは自由に思ったことを描いてみてはいかがでしょうか。

コンセプトデザイン

コンセプトデザインは、家族の暮らしであるライフスタイルをデザインすることです。
家づくり後に叶えたい家族の思いを、事前にイメージしていきます。

例えば・・・

・自然素材を中心とした「有機質的」な暮らしか、石材やタイルや新建材などの 「無機質的」な暮らしなのか。
・子育てを中心とした暮らしか、成人した大人が満足する暮らしなのか。
・心地よさを感じられる住まいか、機能的な住まいなのか。
・趣味を中心として、暮らしをデザインしたい。
・断熱や耐久性、劣化などを考慮した、品質重視の住まいにしたい。

家族のための住まいです。家族にとって叶えたいコンセプトを描いていきましょう。

空間デザイン

空間デザインは、幅や奥行、そして高さによる三次元を考えることです。
間取りというと、平面的なことでしかイメージできにくいのですが、断面図やパースによって、空間的なイメージを感じられると思います。

ある部屋の隅に立って、対角に眺めるイメージや、低い位置から色々な方向や高さに、視線を動かしてみるなどのイメージを持ってみてはいかがでしょうか。

注文住宅では、家を建ててみないと実際の空間は体験できません。
しかし、イメージすることはできます。平面だけにとらわれず、空間という意識も持ってみてはいかがでしょうか。

外観デザイン

新しい分譲地に行くと、素敵な家が立ち並んでいます。
色使いがきれいな外観、箱型ですっきりとしたシンプルな外観、片流れの屋根でシャープな印象の外観など、いろんなデザインの外観があります。

家族にとって好きな外観、嫌いな外観があるのではないでしょうか。
気に入った外観をスケッチしたり写真に撮ったりして、楽しみながらイメージしてみませんか。
但し、この地域は雪国のため、雪との折り合いを付けなければなりません。そのあたりは相談していただきたいと思います。

また、構造的に優位かどうか、価格はどうかなどもご相談いただきたいと思います。

内装デザイン

多くの方が内装をデザイン(選ぶ)ことが楽しいと感じるのではないでしょうか。
家づくりアンケートなどでも、そう答えている方が多くいらっしゃいます。

キッチンやお風呂などの住宅設備機器選び、床材や壁天井材などの建材選び、そしてそれらの色選びを、ぜひ楽しんでもらいたいと思っています。
全体のバランスを心配されている方は、色々とお手伝いをいたします。

現在では、本当に様々な設備機器や内装材があります。選びきれないほどです。
その場合は、家族のコンセプトからの基準や優先順位、そして価格バランスからデザインしてみてはいかがでしょうか。

インテリアデザイン

実際の暮らしには、家具や照明機器、雑貨や家電などが必要です。
手持ちの家具や雑貨に合わせて家づくりをする方もいます。
家での暮らしを心地良くする明かりは、照明機器の選び方や配置によって大きな影響がでてきます。

雑貨や小物も、家族の暮らしを豊かにしてくれることでしょう。
建物の内装や空間によって、インテリアの選び方も変わってくるかもしれません。
いずれにせよ、家族の暮らしに合う、お気に入りのインテリアにしたいものです。

構造デザイン

構造もデザインと言えるでしょう。
上下階の軸や壁を合わせる、建物全体のバランが取れた構造設計など、家族が安心した暮らしを営むための構造。
そのデザインも大切な要素がと思っています。

様々な制限がデザインを作り上げる

デザインと一言でいっても、漠然としています。
自由にデザインしたいと思っても、何からどう始めたらいいのかわかりません。
デザインは、ある程度の規制があって、初めて現れてくるものだと考えています。

建物の配置や大きさは、建築基準法に沿わなければなりません。
外観は、雪国であることや周辺環境を配慮した方が良いでしょう。
内装は自由ですが、自然素材を多用するのか、新建材にするのかで、選ぶ要素が変わってきます。

空間を作る上でも、構造的なことや部屋の配置などによって、全てを叶えることは出来ないかもしれません。

だからこそ、デザインがあるのだと思います。
デザインは、色々な制限や規制があって、初めてデザインしなければならないものだからです。
デザインとは、家づくりにおいて、家族がこれから心地よく豊かに暮らすための、大切な要素だと思います。

自由な発想でデザインすることは大切なことです。但し、様々な制限や規制があってこと、デザインが洗練されていくのです。


6. まとめ

敷地と間取り、デザインのことを記載してきました。
色々なことを考慮しながら、家族に合ったプランニングをし、デザインしていきます。

ここで、お伝えしたいことがあります。

それは、敷地の状況や条件は変えることができません。
しかし、設計や間取りの工夫で解決できることもあります。
そして、家族に合ったプランやデザインは、様々な制限はありますが、家族自身で選ぶことができるのです。

家族の思いであるイメージを具現化してくれる依頼先と、信頼で繋がることが大切です。


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