当社にご相談される方の多くが、住宅会社や工務店から、そこまでの提案をされなかったとおっしゃいます。
私の今までの業界経験からも、家づくり後にアンケートを取ると、担当(営業や設計)から提案が少なかったと記載される方が多いという印象を持っています。
各社のアンケート調査からも、多くの家づくりOBの方が不満に思っていることとして、提案力がなかったとあります。
これは、大手ハウスメーカーに限らず、ローコスト会社や地場の工務店にも当てはまると思っています。
それはなぜでしょうか。
その原因として考えられることは、
1.住宅会社の目的が受注(利益)を優先していること
2.住宅会社が提供できる家は標準化されていること
3.住宅会社の社員のスキルや意識にバラつきがあること
このように、住宅会社という構造に起因することが、原因として考えられます。
顧客が求める提案に対し、住宅会社が顧客にする提案では、同じ言葉でも意味合いが全く異なっていることがあります。
顧客が求める提案とは、自分にとって優位となる考え、自分でも気づかない潜在的な気持ちや考えなどを、どのように汲み取り教えてくれるか、ということではないかと思います。
顧客にとって家づくりは未知の世界なので。
一方で住宅会社の提案とは、言葉は提案ですが、意味合いは説明に近いと思います。
自社の住宅では、これが標準仕様で、このような強さの建物で、いくらくらいになります、といった説明を提案と称していることが多いのです。
住宅会社としては、顧客に寄り添った顧客のための提案をすることは、自社が選ばれない可能性が高まるというリスクをはらんでいます。
自社の商品を売りたいが、顧客の気持ちが自社の商品に合わない場合、他社を勧めるわけにはいきません。
また、顧客にとっての提案を深めることで、家づくりの日程が遅れたり、複雑になったりと、手間暇がかかってしまいます。
住宅会社にとって理想的な顧客とは、自社の住宅商品や間取りを、そのまま素直に買ってくれる人ということです。
提案されなかった項目として、多く上げられるのは「間取り」だと思います。
家を建てて暮らしてみて、初めて使い勝手や生活導線の不具合、部屋の広さや用途不明の部屋など、もっといろんなことの提案を受けていれば、こんなことにならなかったと思う方が多いのです。
私の今までの経験で、住宅会社が顧客から間取りの要望を聞く場合、リビングは〇〇帖、寝室は〇〇帖、などで描いていくパターンです。
また、我社の標準はこれでこの中から選んでくださいと、それを契約まで流れ作業で続けてしまうパターンです。
聞き取りの担当によっては、方位や風向きなど考えもしないで描いていくことがあります。
顧客にしてみたら、相手は家づくりのプロだと思い込んでおり、自分たちが気づかない提案を待っているのですから、このような提案(説明)ではとうてい納得できることではありません。
顧客の今の生活、そして未来の生活を想像して、顧客のために設計していく人は、相当少ないと考えています。
これは、通常間取りを作っている営業でも、設計士でも、人によりますが、間取りに対しての考え方が売るための間取りになっているためです。
売るための間取りを作る経験は、いくら長くても顧客のためにはならないでしょう。
そのような不安を抱えている方が、建築家などに依頼したいと考えているようです。
実際に私が東京で建築家プロデュースに係っていた頃、そのような顧客が多かったように記憶しています。
建築家(設計事務所)は、設計、もしくは設計監理を生業として施工からは独立した立場です。
顧客にとって納得のいく設計をする期待感から、選ばれる存在です。
従って、提案の仕方は、住宅会社とは異なっています。
顧客の潜在的な要望までを、設計図に落とし込もうと懸命になります。
建築家に依頼して家づくりした顧客は、提案力ということに関して満足度は高いのではないでしょうか。
但し、建築家と言っても、そのスキルや提案力は人それぞれですし、コミュニケーション力もそれぞれです。
これまで私は、大手ハウスメーカーやローコスト会社、建築家プロデュース、地場工務店と、様々な家づくりの実務を経験して思ったことは、顧客にとって最善の提案とは、ある意味どこにも属さない立場に立った方が、より提案の幅が広がるのではないかということです。
その立場でなら、先入観や思い込みを持たず、顧客の気持ちや考えを受け入れやすくなると思っているからです。
その上で、住宅業界の様々な経験から、全体を見渡した状態で、顧客にとっての納得いく家づくりの提案ができるのではないかと思っています。
当社では、様々な視点から顧客に対して提案しています。それも初期の段階で、を重視しています。
もし皆様が、自分たち家族にとって優位で役立つ提案を求めているのなら、相手(住宅会社など)の目的や立場やスキルから、どんな相手が合うのかを少し考えてみてはいかがでしょうか。
家づくりの依頼先が全て、皆様の期待に沿うような提案ができるとは限りません。
ただ単に新築に住みたいのであれば、それほど質の高い提案は必要ないかもしれません。
しかし、後で後悔したくない、できるだけ納得したいとお考えなら、提案力のある相手に味方になってもらうと良いと思います。
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