建築工事について(脱線)

住宅建築は、材料を仕入れ現場に入れ、各専門業者が段取りよく現場で作業することで、少しずつ形が出来上がっていく。工場で機械が家を作って、現場に置くものではない。

現場で作業しているのは、機械ではなく生身の人間である。だからこそ、現場で作業する業者や職人次第で、家の良し悪しの「差」が生じてしまう。しかし多くのお客様は、その業者や職人の「差」に意識を向けることが少ない。

業者や職人の「差」ではなく、住宅会社の「差」に意識が向いてしまいがちとなる。住宅会社を信頼することで、住宅会社の下請業者にも間接的に信頼する、ということだ。下請業者の良し悪しまでは、お客様にとっては、選択判断の範疇外だと思われているのかもしれない。

実際の工事現場では、お客様の想定以上に、業者や職人次第で品質に大きな「差」が生じてしまう。もちろん現場監督の力量や住宅会社の管理体制の「差」が、品質に大きな影響を与える。少なくても、これから暮らす新築の住まいに関して、「高品質を叶えたい」という思いがあるならば、どんな業者や職人が自分達家族の住まいを作ってくれるのか、そして住宅会社の社員の姿勢など、気に掛けることをお勧めしたい。

年間、何十棟も何百棟も住宅を建築する住宅会社では、どんな業者や職人が現場に入るか、工事の前に決まっていないこともある。ローテーションで、次に現場に入る職人を調整していくのだ。現場では、職人同士が初めて顔を合わすことも多々ある。コミュニケーションを取らず、流れ作業的に自分の仕事をこなしていくことも多くある。

口コミサイトなどで、同じ住宅会社で作った家でありながら、一方で良い家を作ってくれた、もう一方で我が家は手抜きや欠陥があった、などの内容で書かれていることがある。車でいえば、あるメーカーのある車種が同じ会社で作られているのに、品質に天と地ほどの差が生じる場合がある、ということだ。車の製造現場ではありえないことだ。しかし住宅建築では、いまだに多く起こっているのが現実である。

現場で家を作っているのは誰なのか、ということ。

工事の工期を優先するあまり、どしゃ降りの雨でも基礎のコンクリートを打設してしまう。確認しなければならない項目があるが、現場監督が忙しすぎて確認を怠ってしまう。段取り不足で材料が不足したが、予算が足りず継ぎはぎでごまかしてしまう、など。

同じ住宅会社の住宅商品でも、社員や業者や職人次第で、品質は変わってくるのである。私が住宅業界に入った30年も前から、このことへの本質的改善は進んでいないのだ。それが住宅業界である。

 

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